韓国半導体産業の国際競争力形成の要因－デバイス部門と製造装置部門の企業間関係の変化に即して

摘要

1990年代半ば以降，国境を越えた枠組みのなかで東アジアの経済発展を捉えようとする試みが活発になっている。 これらの議論は理論的立場や論点が異なるものの，そこでの共通の問題認識は，先進国の多国籍企業の戦略的行動が同地域の工業成長を促しているのであり，後発国や後発企業は，こうした戦略により創り出される分業関係の一端を担うことを通じて，発展を享受することができるという点にあるだろう。 この具体的事例のひとつが電子産業である。 とりわけ電子部品分野での東アジア諸国の成長は，米国企業の国際的展開と深くかかわっている。 すなわち，1980年代以降に顕在化した日本企業へのコンピュータ部品の依存という状況に対処するため，米国のパソコン企業は，国際的資材調達を通じて，新たな部品供給源を東アジアに形成した[Borrus 1997; Dedrick and Kraemer 1998]。 この典型的事例が，DRAM分野における韓国企業の成長である。