ミカンコミバエの飛翔能力とさまざまな影響因子 (性別、交尾経験及び羽化後日齢）

摘要

ミカンコミノ、'ェBactrocera dorsalisは、カンキッ類やマンゴ ゥなどの果樹、果菜類に甚大な被害を及ぼす大害虫であり、日 本国内ではメチルオイゲノールを用いた雄除去法により1986 年に本種の根絶を達成している。本種の生息地である台湾等に 近い沖緙県では、県内全域にトラップを設置して再侵入を警戒 している力、根絶以降も毎年、本種の誘殺が確認されている (Ohno et al.; 2009,嘉数ら、2015)。これらの再侵人に対しては、 発生確認の調査及び防除等が的確に実施されており、現在まで 定着には至っていない。しかしながら、2014年は根絶後最大 の誘殺規模（嘉数ら、2015)となるなど、近年は、本種の誘殺 回数、頭数が高く推移しており、侵入、定着のリスクは高まつ ているといえる。また、本種の誘殺に伴う発生状況及び誘殺原 因調査の結果、定着につながる可能性が高いと判断した場合は、より慎重に防除範囲を定め、防除内容を決定しなければならな い。これらの対策を検討する上では、ミカンコミバエの飛翔能 力を調査し、移動分散の可能性を分析することが重要となる。