ニンジンを用いたクサギカメムシ幼虫の効率的飼育法

摘要

クサギカメムシHalyomorpha halys（STAL）は，古くから果樹類，マメ類および野菜類などの害虫としてよく知られている（長谷川、梅谷，1974）。 1996年と2001年には，東北地方のリンゴ園で本種が多発生し，著しい果実被害が発生した（舟山，2003）。 本種は日本ではごく普通に見られる種であるが，多食性で，成虫は各種の餌植物を季節的に移り渡る（柳、萩原，1980；川田、北村，1983）などの生態的特性から個体群動態の調査が容易ではなく，生活史には依然として不明な部分が多い。このため，室内実験による本種の生理、生態の基礎的研究は生活史解明の重要な基盤となる。 しかし，野外における本種の個体数は年次変動が大きく（大平，2003），成虫は飛翔性に富み，さらに活動期には低密度の個体群しか形成しない（川田、北村，1983）など，捕獲によって実験に多くの個体を安定的に供することは困難である。 そこで，この間題の解決には，本種の効率的な飼育法の確立が必要となる。