線虫研究の過去、現在、未来その2線虫害の変遷（前編)

摘要

今回は，線虫研究の現在がテーマである力、現在を語る前に，今に遡るおよそ30年間の線虫害の変遷を概観 したい。その期間は1979年（昭和54年）から2011年（平 成23年）までである。かっては線虫防除技術をテーマ とした大きなシンポジウムが開催されていた。例えば， 1989年には飯田橋の家の光ビルで野菜病害虫防除研究 会シンポジゥム 一土壌線虫を巡る諸問題一（平成元年 12月7日）if,農林水産省野菜茶業試験場と社団法人 日本植物防疫協会により共催された。その10年後の 1999年には，日本植物防疫協会が主催するシンポジゥ ム「線虫防除の戦略と展望」（平成11年9月28日）が 東京都西ケ原の滝野川会館で開催されたことがある。こ れらのシンポジゥムでは，それぞれの時点の過去10年 間の線虫問題と対策が紹介されていた。その10年後（平 成21年）の全国シンポジウムは計画されなかったので， 線虫問題の総括の機会がなかつた。再調査が必要だとか ねがね思っていたが，幸いにも農林水産省消費安全局の 阿部清文専門官（2012年当時）のご協力が得られ，各 地方農政局を経由して「線虫防除に関するアンケート調 査」を都道府県に配布し，取り纏めることができた。