葉緑体遺伝子間領域のシ一ケンシングに基づくカラムシ及び近縁ィラクサ科植物の多様性,系統解析

摘要

カラムシ（青苧、Boehmeria nivea)はイラクサ科ャブマオ属の多年草で繊 維作物として利用される。日本では沖緙から 東北までの各地で古くから栽培されてきた 力、多様性に関する知見はほとhどなかった。 我々はこれまでに、山形県大江町の栽培-自 生のカラムシの遺伝的多様性と国内の地域間 のカラムシの遺伝的関係を、葉緑体遺伝子間 領域のシーケンシングと核SSR解析により 調べ、大江町内の変異が国内の地域間の変異 よりも大きいこと、大江町と福島県会津地方 のカラムシが遺伝的近く同一起源である可能 性があること、などを明らかにしてきた。本 研究では、国内有数の産地である会津のカラ ムシの多様性と山形県のカラムシとの関係、 さらには様々な地域間のカラムシの関係を解 明するために、新たに採集した福島県会津地 方の複数集団及び他地域のカラムシを加えて 多様性解析を行った。また、イラクサ科は日本に自生種が多数あり、繊維や山菜として利 用されるものの、分類は形態に基づくものの みであり、複数種が連続的形態分化を示すな どの混乱が見られる。そこで、分子遺伝学的 な系統解析により、イラクサ科における力ラ ムシの位置づけや、同属の自生種との遺伝的 関係の解明を試みた。