宮崎県大淀川水系から得られた特異なシマドジヨウ

摘要

ジョゥ科シマドジョゥ属のャマトシマドジョIゥ種石Cobitis sp. 'yamato' complex (sensu Saitoh et al.， 2000 ；北川，2010)は山口県西部と 九州に広く分布し，おもに河川中流域の砂礫底に 生息する（斉藤，2001).本種群は古くはタイリ クシマドジヨウと呼称され大陸に産するCobitis taeniaと同種もしくは亜種とされてきたが（Okada and Ikeda, 1939 ；青柳，1957)，核型や遺伝子の特 徴などから日本固有種であり，複数の種を含む種 群であることが示唆されている（Freyhof et al., 2000; Saitoh et al., 2000; Kitagawa et al., 2003b, 2005).本種群は2種のシマドジヨウ属魚類間の交 雑に由来する異質4倍体性種である（Sezaki et al., 1994; Saitoh et al" 2000 ：斉藤，2001)ことや，地 域により核型の異なる集団が存在する（Uenoand Ojima, 1976 ；上野ほか，1980)ことなどから，種 分化のモデルとして興味深い特徴を有している (酒井，1995).