成人女性における骨量と栄養管理に関する研究

摘要

長寿社会を迎える今日，一生を通じて質の高い生活を送るためには，若年期から高齢期までの各ライフステージにおいて骨の健康管理を考え実践していく力が必要である。骨租軽症においては，若年期における最大骨董の形成が重要であるという点で他の生活習慣病とほ異なるところがあるが，高齢化に伴い発症率が高まり，高齢期の生活の質を左右する重要な疾患の一つであることから，早期に予防を図ることが強く求められることは他と同様である。特に女性の骨董の増減には多くの要因が関係しているが，内分泌，加齢，遺伝などの内的要因と，栄養，運動や生活習慣などの外的要因の二つに大別される。そのうち栄養については，中高年者や高齢者の骨折率，閉経期以後の骨量の変化が若い頃の食生活と関連していると報告され，また妊娠，分娩による骨密度の変化について一致した成績が得られていないものの，その要因にカルシウム摂取量との関連性も示唆されている6，。従って，将来の骨租髭症の予防のためには若年期におけるカルシウムを中心とした食生活のあり方が非常に重要であると考えられる。しかし，骨租馨症が高齢者に多く起こる病気ということもあり，若年者には関心が持たれにくい現状である上に，女性の間に急速に広がる痩身願望もあり＆，若年女性では望ましい食事がとられていないことも多い。さらに，安易なダイエットは骨量減少につながることも報告されており，食生活の面からも若年女性の将来における骨租馨症の発症が危惧される。