飼料中リジン濃度の低減によるブタ筋肉内脂肪の蓄積促進機構の解明

摘要

筋肉内脂肪含量が低い豚肉に比べて高い豚 肉の方が、風味や柔らかさ、多汁性がよいこと から、筋肉内脂肪は豚肉の品質を左右する 重要な形質であると考えられている。したがって、 筋肉内脂肪の蓄積を制御することは豚肉生産に おいて重要な課題である。こうした背景から、 高い筋肉内脂肪含量を保有する系統豚が育種改 良により作出されてきた。代表的な系統としては'TOKYO-X'があげられる。これは北京黒豚、 ノ一クシヤー、デュロックの3品種を用いて東京 都が作出した系統である。一方、栄養制御に よって筋肉内脂肪含量を高める研究も行われて きた。通常、植物性タンパク質源を主体とした 月豕用飼料では、リジンが第一制限アミノ酸となる。 このリジンの濃度を低減した飼料（低リジン飼 料）をブタに給与すると胸最長筋の筋肉内脂肪含 量が高くなることが明らかになつている。例えば、 Witteらは、リジン濃度が要求量の80%である 低リジン飼料を6週間給与し、筋肉内脂肪含量が 高くなることを示している。