淀川の河川構造改変がもたらしたシンボルフィッシュ、イタセンパラの盛衰（後編）－「危機的考犬況に陥った豊かな淡水魚類相とその復活に向けて

摘要

前編（3月号）においては，明治期初頭から淀川で航路を確保するために行われてきた水制工を用いた大規模な河川改修工事が，期せずしてワンド。 タマリと呼ばれる特有の水環境を河道内に多く形成させる結果とをったこと，そして，それらがイタせンパラをはじめとする淀川の豊かな淡水魚類相を構成する各種の生息環境としてうまく機能してきたことを述べた（図1）。 しかし，近年まで維持されてきたワンド、タマリが有する豊かな環境ば1980年代の半ば頃から急速に劣催しばじめ，淀川が誇った豊かな淡水魚類相ば著しく衰退してしまった。 なかでも，イタせンパラの国内最大の生息地であった淀封下流の城北ワンド群においては，2005年を最後に個体の確認がまったくできないという危機的な状況に陥っぞしまったことを述べた。 本編においては，ワンドタマリの環境を劣化に導いた原因と，そこから見えてる良好な河川環境の維持に不可欠な要素とは何かについて述べる。