ミドリムシの光運動反応を観察する

摘要

われわれヒトも含めて地球上すべての生物は，太陽の光に依存して生きていると言っても過言ではない．植物の光合成によるエネルギー獲得は言うまでもないが，動物も視覚において光を信号として利用えさすることにより，餌の獲得，危険回避，生殖といった基本的活動に役立てている．これは微生物でも同様で，クロロフィルをもつものは光合成を行うし，光合成を行わないものでも有害な紫外線を回避したり，胞子放出や細胞分裂の合図として光を利用したりしている．ミドリムシ（ユーグレナ）は光合成能を有するがゆえに，好適な光環境に身を置くことはきわめて重要であり，それを実現するために鋭敏な光感覚システムをもっている．その表れが走光性.光驚動反応.光キネシスといった光運動反応である（詳細は筆者らによる本誌特集記事36～41頁を参照）．本稿では，これらのうち最も観察しやすい「光驚動反応」について，手軽な観察法を紹介したい．さきがけ