動植物の性別決定メカ二ズムの多樣性 -- Y染色体はなくなるのか：性染色体とは何か一その起源と進化

摘要

性決定のしくみは生物によって大きく異なる。動物と植物ではまったく違うし，同じ動物であっても魚類ゃ両 生類，哺乳類，昆虫には著しい多様性がある。性染色体をもたない生物も多い。性染色体はすべての生物種に 通じる性決定の基本原理といえるのだろうか。性染色体とは何か？生物界を通じてその起源と進ィヒに迫る。ドィッの生物学者ヘルマン.ヘンキ ングがおかしな染色体を見つけだしたのは1891年のことだった11。カメムシ の仲間の精子で染色体を観察すると， 12本の染色体をもつ精子と11本の染 色体しかもたない精子があり，ほかの 染色体とは異なる挙動をする染色体があることに気づいた。彼は，この染色 体をX染色体と名づけ，この染色体が 昆虫の性決定に関わっているのではな いかと考えた力5'，確証を得ることはできなかった。1902年になるとクラレン ス-マックラング力;'，1905年になると エドムンド、ウィルソ、ノが,X染色体を 性染色体とよぶようになっていた2 )3)。