階層ベイズモデルを用いた 黒毛和種肥育牛の成長曲線解析

摘要

動物の成長パターンは一様ではなぐ早熟な ものや奥手のもの、ゆっくり成長が進むものや急に成長が進むものなど多様であり、そのパター ンは他のさまざまな形質同様に、遺伝と環境両 方に左右されること知られている。成長パター ンの違いは継時的変化を示した図を比較すれ ば認識できる力5—、それだけでは成長パターンの 何がどの程度違うのか、具体的に数値として 表すことはできない。そこで成長パターンの違いを人間が理解可能な少数のパラメータで表 すために、古くから成長曲線が用いられてきた。 これまで考えられてきた成長曲線は多数あり、代表的なものとしてLogistic曲線、Richards 曲線、Gompertz曲線、von Bertalanffy曲 線、およびBrody曲線などが挙げられる（表 1)。いずれも3から4つのパラメータを持ち、 各パラメータを変ィ匕させることでさまざまな成長 パターンを記述することができる。例として本 研究で用いたGompertz曲線を図1に示した。 Gompertz曲線においてパラメータAは成長し きった際の最終的な大きさを表し、パラメータお は曲線を前後に移動させる効果を持つ。そし てパラメータiHま最大の成長速度を表す。こ れらのパラメータを個体ごとに推定することによ り、「この個体は最終的に最も大きくなるが（4 が最大）、最大の成長速度は下から2番目で(/T が下から2番目）、かつ成長の立ち上がりが遅 いが大きい）」といった具体的な知見を得る こと力《できる。