牛の血中遺伝子発現ならびに内分泌変化を指標とした 早期妊娠診断の試み

摘要

人工授精した牛が妊娠しているかどうかを早 期かつ正確に知ることは、効率的な繁殖管理 のために極めて重要です。受胎率低下の問題 が深刻化し続ける中、発情(排卵)の正確な 把握と適時人工授精による受胎率向上の取り 組みは必要不可欠ですが、受胎しなかった牛 をできるだけ早く見つけ、速やかに次の人工授 精の機会を与えて受胎するまでの期間を短縮 することができれば、次の発情回帰までに費や される飼養管理経費や子牛あるいは生乳の生 産遅延による経済損失を防ぐことが期待されます。このような背景の中、2009年に解読され た牛のゲノム情報を活用して、牛の早期妊娠 診断技術の開発を目指す農林水産省委託プロ ジェクト研究「繁殖サイクルの短縮や受胎率向 上のための技術開発」が2012年-2017年に かけて実施されました。本稿では、早期妊娠 診断に関するこれまでの取り組みを振り返るとと もに、本研究で開発した2つの早期妊娠診断 技術をご紹介します。