畜産経営の事業展開と資金調達—6次産業化とABLの事例を中心に一

摘要

農林漁業、農山漁村の6次産業化の促進は、 政府としても重要な戦略の一つとして位置づ けているが（平成23年10月「食と農林漁業の 再生実現会議」)、平成に入った時期から6次 産業化を進めてきた酪農経営が北海道にある。 成牛85頭規模ながら、平均的な酪農経営の約 2倍に相当する（1)売上高約1億5000万円 あまりを計上している有限会社L牧場である。L牧場は、大正時代に札幌で酪農を始め、 昭和44年に現在地の胆振地方に移転、昭和49 年に一戸一法人として法人成りを果たした。 以前は、酪農と小豆、ビートなどの畑作との 複合経営であつたが、平成4年にアイスク リームの製造、販売を開始し、そのときに、 労働力などの関係から酪農と加工に絞った事 業展開に切り替えている。