乳牛の濃厚飼料多給の弊害—糟糠類中のフィチン酸はクル病発病因子である一

摘要

かねてから濃厚飼料の多給の弊害について話題にのぼっていた。しかし，乳牛に濃厚飼料を 多給すると如何なる弊害が生じるのか，また濃厚飼料中のどの成分が原因となるのかについては 定かでなかった。著者はかねてからその弊害について指摘していたが，ここで改めて注意を喚起 したくこの小文を記す次第である。すなわち，濃厚飼料多給で若い育成牛ではクル病，成牛では 骨粗鬆症が発生していること，その原因物質として穀物の外皮，胚芽などに広く分布するフィチン酸（Phytic acid)の存在を指摘したい。さらに，フィチン酸はCaを取り込むために骨疾患が 発生するかにおもわれているが，そのとき乳牛の血清Mgは低下するのでMgも取り込むと考え なければならない。