BSE再考、補追2一BSEの置かれている科学的領域は、自然科学か社会科学か一

摘要

私は研究者ではないので実験をすることは出来ないが，概念として『BSEは自然科学的課題』 だと思い込み，文献，講演等を元に考察を続けて15年，やっと結論に達し，その発生消長の 大筋を畜産の研究2017年9月号に「次世代研究者への研究のヒント提供」として発表した。当稿の本論に入るに当たり，まず20世紀末おおよそ30年の間に，米加西欧諸国では牛ばえ 幼虫症が消えたことから記述することとする。これは世界獣医防疫史上，特筆大書されるべき 歴史的快挙であり，他方，BSE発生の遠因と考えられるからである。米加（1970年前後）に次いでイギリスで，EU他諸国に先駆け有機燐系殺虫剤ホスメットを 使った牛ばえ幼虫症撲滅事業が始まったのが1978年で，1980年頃から従来濃度の2倍，1982 年から従来の4倍の20%濃度で強制的な撲滅事業が始まった。