家畜の温熱環境生理学(1) 一その内容と家畜管理学における役割—

摘要

わが国の家畜生産は，戦後農家の片隅でなされて いた時代から，規模を拡大し専業化されるように なった。この大きな変化に同期するように，大学で の畜産学も内容を拡充させながら分化を重ね，家畜 管理学を誕生させた。ここで取り上げる家畜環境生 理学は，家畜行動学とともに家畜管理学教室の主要 な講義内容であり，また同時に研究分野となってい る。家畜環境生理学が家畜管理学を支える一つの柱 であるのは，研究の成果や知識が家畜を飼育する環 境の管理や家畜の福祉に貢献できるからである。ま た，家畜管理学を畜産学科の講義科目から研究を担 う学科目や講座とするには，独自の研究方法を育て 上げ成果を体系付ける必要があり，家畜環境生理学 と家畜行動学が育まれてきた。