加工型畜産への傾斜と飼料自給率の低下

摘要

食料自給率の低下は畜産物と油脂の需要増大に対する国内生産の披行が最も大きな要因と考えられ，畜産物は食肉を中心とする畜産物それ自体の輸入増大による食料自給率の低下が近年顕著になっている。 畜産物自給率は7割程度（平成15年度：67％）であるが，輸入飼料を自給率から除外した畜産物それ自体の自給率は16％（平成15年度）という低さである。 したがって，国内産飼料供給で畜産物の生産が可能になれば，畜産物の自給率は議論の姐上に乗ることばない。 しかしながら，飼料自給率が濃厚飼料はいうに及ばず粗飼料までもが輸入に依存す－る加工型畜産の体質がビルトインされた状況にある。 これは，昭和40年度は畜産物の自給率は輸入飼料による生産部分を含めると92％という高さであり，輸入飼料を除外した畜産物それ自体の自給率でも47％であったものが，平成15年度には上記のように16％まで低下している。 このことば，日本の畜産業は輸入飼料の加工産業としての性格をますます色濃くすることとなり，加工型畜産体質依存が定着した立証となっている。