畜産分野における青年海外協力隊員の活動 - 牛人工授精プロジェクト（マラウイ）

摘要

2005年7月より筆者は，（独）国際協力機構(以 下JICA)の青年海外協力隊として東アフリカにある マラウイ共和国（以下マラウイ）に派遣され，家畜 飼育隊員として約2年間活動した。配属先はマラウイ北部の3県を管轄するムズズ農 業開発局で，酪農業の発展を目指し三代目の協力隊 員として，牛人工授精技術の普及活動を行った。本稿では，畜産分野の青年海外協力隊員から見た マラウイの畜産および協力隊活動を紹介する。ァフリ力南東部に位置するマラウイは大国タン ザニァ，モザンビーク，ザンビアに囲まれた小さな 内陸国である。面積は北海道と九州を合わせたほどで，その約4分の1をマラウイ湖が占める。東ァフ リカの大地溝帯に沿って国土は南北に長く伸び，最 低の海抜はマラウイ湖畔の約900mで高地は約 1,400mに達するため，気候条件は多様である。人 口は約1,400万人，労働人口の80%が農業.農業関 連事業に従事する農業国である。タバコ，紅茶，砂 糖などの農産物が全輸出額の8割を占めており，経 済基盤がこれら農作物価格の国際市況に左右され やすいため脆弱である。マラウイ国の開発課題とし ては，貧困削減に資する農業分野の生産性拡大など が求められている。