畑地における窒素の挙動とその制御（3）－個地土壌中の浸透過程における窒素動態－

摘要

土壌中の窒素は，微生物活動によってその形態（有機態，アンモニア態，硝酸態，亜硝酸態，窒素ガスなど）が変化するため，その挙動は土壌環境（酸化還元環境，水分環境，温度環境）に大きく依存する。 さらに，降雨，潅水による浸透や蒸発散に伴う土壌中の水分移動によっても移動し，各態窒素の土壌吸着特性の適いにも支配される。 こうした非常に複雑な過程を経て，硝酸態窒素が地下水に達する。 したがって，硝酸態窒素の動態を制御するためには，水と窒素のインプットとアウトプットのみに注目するのではなく，農地の地表から地下水に達するまでの不飽和土壌中での水分移動と窒素移動，形態変化のメカニズムを解明することが重要であると考えられる。そこで今回は，畑地土壌中の浸透過程条件下での水分，窒素挙動特性を把握するために，基礎的な室内実験を行い，前報（中村ら，2003）と同様に，供試土壌に砂土と黒ボク土の2種類を用いて，土性の違いによる比較，さらに施肥管理による土壌窒素の制御の可能性を把握するために施肥管理の違い（一括施肥と分施）による比較を行った。