パイプライン水理講座(3) パイプライン水理の基礎式と水理設計

摘要

第1回で解説した流れの物理学的基礎知識を 基本に、今回はパイプラインの水理設計に必要 な基礎式について解説する。そして、具体的な 水理設計問題を考えていく。ノ 、'ィプラインの水理設計での最も基本的な設計 事項は、水利用計画に基づき圃場へ供給すべき 用水をいカゝに効率的に輸送するかである。その場 合、水を粘性流体と考えパイプラインの構成要素 である管路との摩擦力と水に働く管路方向の重力 とが平衡した定常流として考える。定常流は時間 的に変化しない流れ場であり、関係するすべての物理量の時間微分は0である。水理設計では用水を適正な流速で輸送するための必要な管路ロ 径および水頭（圧力）を求めることを目的に、平 均流速などを求める適切な水理公式を適用しな ければならいない。単一管路の定常流の解析で は、管路口径も変化のない流れを取り扱うことを 主題とすることから、場所的な流れの変化のない 流れ（等流）が対象となる。設計する流速につい ては、管路の安全性の観点や維持管理の問題か ら、許容最大流速と許容最小流速の範囲が設計 基準などで規定されている。一般的な自然圧式管 路では、原則的に最大流速（水理ユニット内の流速の平均値）；2.0m/s、最小流速；0.3m/sが定 められている。ここでの定常流の設計問題では、管路横断面内の流速の平均値を議論することか ら、一様な流れ（管路の流れ方向以外に流速成分が0となる流れ場）を考える。実際の管路内の 流れは乱流状態であることから流れは3次元的に 複雑で予測が不可能な状態にあるが、工学的に は流れを単純化して考えることになる。