放射性核種の土壌中における挙動および 農作物への移行

摘要

東京電力福島第一原子力発電所の事故（以下、原発事故と記す）により、主に3月中に大 量の放射性核種が大気中に放出された。本稿 は原発事故発生後1年6ヶ月が経過した時点 で書いているが、現在土壌中に検出される原 発事故由来の主な放射性核種は放射性セシゥ ム（Cs)、すなわち、セシウム-134 (134Cs、物 理学的半減期は約2.1年）とセシウム-137 (137Cs、 物理学的半減期は約30年）である。農耕地土壌中の放射性核種は、外部被ばく 線源であるという観点のみならず、農作物へ 移行し、それを摂食することにより人の体内 へ入って内部被ばく線源になりうるという観 点からも検討する必要がある。そこで、放射性 Csに関して、土壌中での挙動や土壌から農作 物への移行について、現在までに分かってい る知見をまとめて解説する。また、ストロンチ ゥム—90 (~(90)Sr)とプルトニウム（PU)も微量 ながら検出されていることや、短半減期のた め消滅してしまったヨウ素—131(1311)も事故 直後にはどのような状況であったのか、必ず しも十分な説明が行われてはいない。そこで、 これらの核種についても述べる力、紙面の関 係で十分には紹介できないため、詳細は引用 文献に当たっていただくようにお願いする。