硬磁性膜作製技術の最前線Ⅱ

摘要

ナノ構造制御により硬磁性膜の応用可能性が拡大しつつあります.HDD記録媒体分野では，Co-Cr- Pt系よりも磁気異方性が大きな材料であるFePtなどのL1_0型規則合金がエネルギー?アシスト記録やビット.パターンド媒体ヘの応用を目的に研究されています.また，MRAMのMTJ素子の電極層材料としてもこれらのLl_0型規則合金の有用性が注目されています.さらに，モーターの高効率化や省エネルギー化を推進するために，希土類系合金を中心とした永久磁石材料の検討を構造制御した薄膜を用いて行う研究が活発化しつつあります.また，近年，エピタキシャル成長技術の活用により,磁性膜の原子層レベルでの構造制御も可能になってきました.そして，これまで形成が容易ではなかった貴金属フリーの硬磁性規則合金材料や格子歪により磁気異方性増大の可能性をもつ材料の検討が進みつつあります.これらの研究が進展することにより，資源問題ヘの貢献も期待されます.このように硬磁性膜材料は応用分野が広く，目的によって検討内容も多岐にわたるため，11巻6号と12巻1号の連続の特集といたしました.