日本における科学·技術の危機

摘要

本論では「理科離れ」に代表される，わが国の科学·技術の危機，特に製造業に関連した問題について，教育の観点から議論したい。 1945年の第二次大戦終戦後，日本は科学·技術を基盤として，工業立国を目標に進hできた。 製造業においては，少数の優秀な研究者·技術者とともに，平均的に優れた多くの人材がいて，初めてよい製品ができる。 世界トップクラスの研究データは，何人もの技術者や現場の作業者の手を経て初めて製品に作り上げられる，また設計者がミスをしても，作業者がおかしいと気づけば，不良は防げる。実際，日本ほそのようにして高品質の製品を世界に送り出し，その結果として驚異的な経済成長を遂げたのである。 平均的に優れた人材の供給を可能にしたのは，優れた資質をベースにした質の高い教育であった。 しかし最近，日本の技術に多くの問題が噴出しており，教育の見直しが必要のように思われる。 そこで，まずこのような問題を生じている時代背景を簡単に復習しておきたい。