小児薬物療法の現状小児薬物療法におけるデータネットワークモデル研究

摘要

小児科領域で使用されている医薬品は，一般に多くの医療施設で使用されているにもかかわらず添付文書に科学的エビデンスに基づいた小児の用法·用量の記載がない，または添付文書に「小児に対する安全性が確立されていない」などの記載があり，臨床の現場で安全にまた安心して使用しにくいなどの問題点が指摘されている。 森田の報告によると，小児科領域で使用されている約75％は我が国では成人で承認されているが，小児の用法·用量，効能?効果が承認されていない，いわゆる「適応外使用（off-label use）」医薬品である。 また，小児科領域で使用したいが治験が行われていないため，小児のニーズに適した剤形がないという問題点がある。 つまり，市販されている剤形が錠剤·カプセル剤のため，粉剤·脱力プセルなどの剤形変更を行わなければならない現状がある。 さらに，試薬や個人輸入医薬品などの我が国で医療用としての使用が認められていない未承認薬を使用しなければ小児科領域での薬物療法が十分に行えない実態がある。 本稿ではおもに小児科領域における医薬品の適応外使用の改善に向けた我々病院薬剤師の研究活動を通じて，小児薬物療法の現状と問題点について報告する。