電子移動ストップトフロー法によるテトラアリール－m－フェニレンジアミンオリゴカチオン類の物性測定

摘要

近年、窒素原子が互いにメタ置換の関係にあるπ-共役オリゴアリールアミン類が荷電有機高スピン分子前駆体として注目されている。 既に、我々はπ－共役母骨格に分子修飾を施した前駆体1aおよび2の設計·合成を行い、これらを化学的に酸化した1a~(＋＋)および2~(＋＋＋)が、それぞれ基底三重項および四重項状態を与えることを報告している。しかしながら、この系ではn個のスピンを発生させるためには前駆体分子からn個の電子を除去する必要があり、より容易に複数の電子が除去できる分子設計が必要とされる。 また、得られたオリゴカチオン種は高酸化状態にあり、一般的に熱力学的に不安定である。より大きな多重度を持つオリゴアリールアミンオリゴカチオン種の実現には、さらに詳細なオリゴカチオン種の安定化方針を導き出す必要がある。