メディエータ型亜セレン酸還元反応はセレン回収方法として有用か？－反応機構解析結果に基づく電解還元条件の検討－

摘要

工業排水中に存在する毒性の高い水溶性セレン（セレン酸、亜セレン酸）には排出制限がかけられている。一方、元素態セレンはレアメタルであることから、水溶性セレンの除去、セレンの回収が可能な方法が必要とされている。当研究室ではメチルビオロゲン（MV）を加えると亜セレン酸を元素態セレンに効率良く電解還元できることを発見した。反応機構解析の結果、MVが電子メディェ一夕として働き、HSeO_3~-をSeに還元していること、反応に必要なH~＋が緩衝液の共役酸から供給されていることがわかった（Fig．1）。従って、この反応にはHSeO_3~-が存在するpH領域で共役酸濃度が高い緩衝液が必要である。本研究は、この反応に基づく亜セレン酸の除去率とその電解効率、セレンの回収率を測定し、この反応のセレン回収方法としての有用性を検討した。