凍結融解胚移植の有効性

摘要

近年，生殖補助医療（Assisted Reproductive Technology; ART)において凍結融解胚移植 (Frozen-thawed Embryo Transfer; FT-ET)は，直要 な技術となっている（図1)。その理由として，女 性の社会進出や晩婚化等の社会情勢の変化から 年々ARTによる治療を希望する患者の高齢化が進 み，それに伴う卵巣予備能が低い患者が増加して いる1'2)。そのため，それらの患者から採卵を行 う場合，卵巣刺激に用いるホルモン投与量は多く なり子宮環境が移植に適した状態ではなくなるこ とから，採卵周期に新鮮な状態での胚移植を行う ことが難しいため凍結保存される。また，一回の 採卵で得られた胚を数回分に分けて凍結保存し移 植することで，何度も採卵を行う必要がなく患者 の身体的，精神的および経済的負担を減らせるこ とや，一回の移植胚数を減らせることから多胎防 止に役立っている。さらには，卵巣過剰刺激症侯 群(Ovarian Hyperstimulation Syndrome; OHSS)力5 懸念される症例や子宮環境が不良な症例に対して は，すべての受精卵を凍結保存している"。この ように凍結した胚は，その後の自然周期または子 宮内膜をホルモン補充療法にて整えた後に移植が 行われている。