ンジン類の新しい展開 再生医療への臨床応用について一

摘要

ブロスタグランジン（PG)類の薬理作用を検討する中 で，PGE.， PGEL, PGI:およびこれらの誘導体と内因性 修復因子との作用類似性から，これらのPG類が，各種 内因性修復因子を産生促進する可能性に着目した..そ の結果，PG類の中で，IP受容体，EP,受容体，および EP.:受容体の各作動薬が，正常ヒ卜臍帯静脈血管内皮細 胞（HUVEC)とヒ卜皮膚線維芽細胞の共培養下で，管 腔形成促進作用を有することを見出し，そのリ一ド化 合物として，0N0-1301を選択した。 ONO-1301についてさらに検討した結果，これらの細胞 から，内因性修復因子として，肝細胞増殖因子（HGF), 血管内皮細胞増殖因子（VEGF-A),上皮細胞増殖因子 (EGF),およびスト口一マ細胞由来因子（SDF-1)等 を産生促進することを見出した。また，ONO-1301の管 腔形成促進作用は，その血小板凝集抑制活性の1/20以 下の濃度で発揮することを見出し，さらにONO-1301の 疾患局所投与可能な徐放性製剤（ONO-1301 MS)を新 しく見出した。これらの新しい薬理作用から，ONO-1301 には，血小板凝集抑制作用および血管拡張作用に 加えて，細胞保護作用（サイ卜プロテクション作用）， 抗アポ卜一シス作用，血管新生、脈管形成、組織再生 促進作用，および抗線維化'抗炎症作用（リバース、 リモデリング作用）が期待出来る。現在，各種疾患モ デルに対する効果から，セル、フリーな再生療法とし て臨床応用の可能性が示唆されているつまた，これら の研究を通じて，生体内におけるPGsの自己修復、組 織再生への寄与解明が期待される。