抗真菌薬の作用メカニズムと病原真菌の微細構造の変化

摘要

近年の医療の高度化に伴う易感染宿主の増加は，侵襲 性ァスペルギルス症や播種性カンジダ症など重篤な深在 性真菌症の発生率を高める結果となっている.深在性真 菌症治療に使われる抗真菌薬は，抗細菌薬のそれに比べ ると種類も数もはるかに少ない.真菌もヒトも同じ真核 生物に属するために，ヒトに毒性を示さず，真菌のみに 選択的に効果を示す薬剤の開発が困難だからである.し かし，近年，新規クラスの抗真菌薬の開発や既存薬また は既存製剤の改良が進み，国内では現在，ポリェン系，ピリミジン系，ァゾ一ル系およびキャンディン系の4ク ラス，合わせて10薬剤が使用可能である.