Bell麻痺、Hunt症候群と診断され最終診断の異なった症例の検討

摘要

顔面神経麻痺は日常診療において比較的よく遭遇する症状 の一つである。その原因は腫瘍性、耳炎性、外傷性、脳血管障害、神経変性疾患など多岐にわたるが、その中でもBell 麻痺およぴHunt症候群は顔面神経麻痺の大半をしめる[1]。 外来診療において顔面神経麻痺の鑑別診断は病歴や身体所見、 様々な検査によって行われるが、時に鑑別診断に難渋する症 例に遭遇する。米国の救急外来のデータではBell麻痺と当 初診断された患者のうち0.5%が後日、脳血管障害や脳腫瘍、 神経変性疾患など別疾患と診断（Diagnostic Error)されたと いう報告もある[2]。