帯状疱疹治療後に顔面神経麻痺を発症した1症例

摘要

顔面神経麻痺の治療において、ステロイドとともに抗ウイルス薬が併用される場合がある。Hunt症候では麻痺発症時 期と皮疹等症状発症時期にずれがあり、皮疹のみが先行し遅 れて麻痺が発症する場合もあり[1，2]、治療方針の選択に苦 慮あるいは追加治療を要する場合もある。今回、我々は帯状 疱疹に対して、通常通り抗ウィルス薬加療を7日間受けた後 に顔面神経麻瘅を発症した症例を経験したので報告する。〖症例〗70代男性。主訴は右側頭部痛であった。201X年3 月10日右側頭部痛を認め、翌日近医耳鼻咽喉科受診し著変 なしとのことで、鎮痛剤等処方された。11日から右頰、側頭 部、舌にも痛みあり、14日かかりつけ医を受診し、当科紹介 受診となった。既往歴には高血圧、高脂血症、前立腺炎、鼻 アレルギーがあり、最近では、排尿問題についての心配で夜 間睡眠が断続的な状態が継続していた。