末梢性顔面神経麻痺症例のENoG高値群における非治癒例の検討

摘要

Electroneurography (以下、ENoG)は、末梢性顔面神経 麻痺の予後予測に有用であることが知られている。当院では 和田ら[1,2]が報告した正中法によりENoG値を計測し、 顔面神経麻痺の予後の予測を行っている。2012年の本学会に おいて、我々[3]は過去、正中法によるENoG値と末梢性 顔面神経麻痺の予後の検討を行った。その際、ENoG値が低 値となるほど治癒までの期間が長くなり、またENoG値が 10%以上であれば、4ヶ月以上の期間がかかるが治癒が見込 めるが、10%未満の症例では、約半数が非治癒となる結果と なった。諸家の報告においてもENoG値が20%以上であれば、 予後は良好であるとされている[3-6]。しかし、ENoG値に より予後が良好と思われた症例であっても、麻痺が残存する 症例を経験することがあり、臨床的に問題となることがある。 今回我々はENoG値により予後が良好であると診断されたが、 非治癒となった症例について検討を行い、ENoG値から推定 された予後と実際の麻痺の回復とがー致しなかった原因と、 その対策について検討した。