発症後長期経過した顔面神経不全麻痺例に対するクロスリンク型神経移植術

摘要

陳旧性顔面神経不全麻痺の主症状である表情筋の筋力低下 ゃ拘縮、病的共同運動などは、病態としては後遺症と理解す るのが妥当と考えられる。これらの後遺症状が、顔面神経本 幹と舌下神経を自家神経移植との端側型縫合で架橋する「舌 下神経-顔面神経クロスリンク型神経移植術」（以下、クロス リンク）によって改善する症例があることをこれまでに報告してきた[1-3]。想定される治療機序を考慮すると、完全麻 痺と異なり不全麻瘅の場合は発症後長期経過した症例でもク ロスリンクが奏効する可能性があり、実際に効果が認められ る例を経験する。本稿では、発症後5年以上経過した顔面神 経不全麻痺に対してクロスリンクを 施行した症例の検討結果を報告する。