新柳原法の検討

摘要

緒言:柳原法は、顔面表情筋の主要な部位に傾斜配点をつけて障害の程度をバランスよく数値化することができ、本邦で広く普及している。一方で、欠点として後遺症の評価が点数に反映されていないことが挙げられる。そのため、後遺症の評価を含むHouse-Brackmann法、Sunnybrook法とは、後遺症発現後は評価が乖離してしまうことが指摘されている[1]。そこで当科では、これらの欠点を改善するべく後遺症の評価を含めた新柳原法を考案してきた。今回我々は、新柳原法と House-Brackmann法、Sunnybrook法の相関を柳原法（以下、旧柳原法とする）と比較検討したので報告する。新柳原法は、後遺症スコアを算定し、それを旧柳原法から減点することで算定する。後遺症スコアは、病的共同運動、拘縮の程度を評価し、それぞれ4点、6点満点の計10点満点とした（図1)。具体的には、病的共同運動は、鼻唇溝の動きや眼險の動きで評価し、病的共同運動を認めないものは0点、明らかに鼻唇溝が動き、完全閉眼するものは4点、その間を2点とした。拘縮では、眼の狭小化、鼻唇溝の深さ、頰部の隆起の3項目を評価する。眼の狭小化は瞼裂に左右差がない場合を0点、明らかに險裂が狭小し閉眼を認めるもの2点、その間を1点とした。鼻唇溝の深さに関しても同様に左右差がない場合を0点、明らかに鼻唇溝が深い場合を2点、その間を1点とし、頰部の隆起も左右差がない場合を0点、明らかに頰部が隆起している場合を2点、その間を1点とした。