音響物理学的手法における耳鳴治療への新しい試み

摘要

耳鳴における新しい治療の試みとして物理音響的手法を試みたので報告する。耳鳴は音源 のない音の自覚と定義されるが、人体内での正弦波発振現象を含むことは確かであると考え る。耳鳴自覚音と逆位相の正弦波を印加した場合に振幅の低減が可能ではないかと考えた。 最も人体に侵襲の少ない印加方法は、本来備わっている特殊感覚器に適刺激を入力する事である。そこで推定した耳鳴信号に対して位相を180度変換し正弦波音響信号を聴覚器に印加することにより耳鳴を低減'消失させることを試みた。本研究は、基本的な物理現象を応用 して耳鳴りを軽減させることを目的とするため、他の治療機器に比して安価なシステムの構 築?製品化が可能である。さらに未だ医学的に有効な治療法が確立されていない耳鳴りに悩 む人が多い事、また眼鏡や補聴器などと同様に一般的に広く使用できる可能性が大きい事な ど、産業的にも効果が期待されるものと考える。