Underwater techniqueによる残存聴力活用型人工内耳埋め込み術について

摘要

人工内耳の手術における低侵襲操作は、術後の合併症の減少に加え、残存する蝸牛機能の温存に有効で ある。近年では残存聴力活用型人工内耳の保険適応にともない、蝸牛へのダメージを回避する工夫が注目 され、機械的損傷や術後の炎症性変化に伴う障害を防止することを目的に、正円窓経由の緩徐な電極の揷 入ゃステロイド投与が推奨されている。蝸牛は特殊なイオン組成と電位を持つ器官であり、内耳リンパ液の漏出により容易にその機能は失われる。それゆえリンパ液の漏出の少ない正円窓アプローチ（RW) は、現時点で蝸牛機能を保護するソフトサ一ジェリーとして最良の方法と考えられる。しかし、内耳奇形 等により正円窓ァブローチが困難で蝸牛開窓を必要とする場合には、吸引操作などによつて容易に蝸牛へ の空気の迷入が起こり、不可逆的な障害をもたらす事力s危惧される。私達は蝸牛への空気の迷入を予防す るために、生理食塩水灌流下に電極の揷入を施行してきた（Underwater technique, UW)。前回、その有 効性を確認することを目的に人工内耳埋め込み術中および術後のィンピーダンスについて報告したが、今 回UW techniqueにて残存聴力活用型人工内耳埋め込み術を施行したので報告する。