聴覚障害乳児におけるVRAの条件付け形成月齢について（その2) -ABRとの反応闞値の相関および聴力.運動発達要因の検討一

摘要

近年、新生児聴覚スクリーニング検査の普及に伴って、0歲初期の段階で聴力程度に関わ らず難聴診断が可能となった。乳児の聴力確定のためには主にABR、あるいはASSRによ る他覚的検査と行動観察的検査が用いられるが、後者の一つにVRA (visual reinforcement audiometry)がある。米国ASHAの0?5歳児の聴覚診断ガイドライン（2004)は、音場ス ピー力、インサートイヤホン、骨導端子を用いて生後5力月からVRAを実施した上での他 覚的検査とのクロスチェックを推奨しており、得られたォージォグラムは乳児の補聴および その後の人工内耳適応判断のための有用な情報となる。一方、感音難聴の乳児を対象にVRA を実施する場合、難聴の程度や内耳障害による平衡覚障害などの特有の要因が条件付け?振 り向き運動の形成に影響することも危惧される。本内容についてはすでに本学会（2013年） で報告したところであるが、本報告では症例数を追加してVRAとABRとの相開、皿の 条件付け形成月齢と聴力程度および運動発達との関連について再検討を行うことを目的とし た。