日本のケーブルテレビ発達史 前編：共同受信システムの誕生から有テレ法成立まで

摘要

ケーブルテレビの歴史は，1953年（昭和28年）テレビ放送が始まった2年後の1955年に遡ります．群馬県伊香保温泉郷において，弱電界のテレビ電波を受信して温泉街に配信する共同受信施設から始まりました．その後，テレビ塔から遠隔の山間僻地に設置された難視聴対策のケーブルテレビや都市部のビルなどの建造物による受信障害対策のためのケーブルテレビ施設として発展し，さらには大都市圏のテレビ放送を区域外受信し，地元テレビ放送波に加えて放送する区域外再送信サービスが出現してきました．ケーブルテレビ施設のチャネル数，伝送帯域，施設規模は，その後，さらに大きくなります．多チャネル，自主放送，双方向伝送を行う都市型ケーブルテレビが1987年に多摩ケーブル·ネットワークを第1号として開局し，1996年からはインターネット接続も始まり，デジタル化に伴って普及してきました．本稿では，ケーブルテレビの発展の歴史について紹介したいと思います．