第108回 判例による自治体コンプライアンス(41) ーー般廃棄物収集運搬業務委託契約を無効とした裁判例ー 阿部鋼といっしょに学ぶ 廃棄物処理法

摘要

今号では、「判例による自治体コ ンプライアンス」の第41弾として、 廃棄物処理法下における自治体の廃 棄物行政の分野における適法性確保 の参考になる判例を紹介する。 本件は、Y市が平成お年2月22日 にZ株式会社(Z社)との間でY市 ー般廃棄物(可燃ごみ等)収集運搬 業務委託契約(本件契約)を締結し たことに関し、Y市の住民であるX らが、本件契約は形だけのプロボー ザルが前置され、事前に本件契約の 相手方がZ社であることが内定して いたのであるから、地方自治法第2 3 4条2項、同法施行令第16 7条 の2第1項に違反しており、私法上 も無効である旨主張して、Y市の執 行機関であるY市長に対し、地方自 治法第242条の2第1項4号本文 に基づき、本件契約に基づいてロ頭 弁論終結時までに支払われた業務委 託料と同額の不当利得金(民法70 3条)及びこれに対する各月分の業 務委託料の支払日から上記不当利得 金の返還済みまで民法所定の年5分 の割合による法定利息(同法704 条前段)の返還をZ社に対して請求 するように求めるとともに、地方自 治法第242条の2第1項1号に基 づき、本件契約に係るY市ー般廃棄 物収集運搬業務委託事業のうち平成 お年3月1日に業務を開始したもの に関し、ロ頭弁論終結時までにZ社 に対して支払つたものを除く公金支 出の差止めを求める住民訴訟である。