MnO-SiO_2-Fe_ttO-MgO系スラグの脱りh能に及ぼすCaOの影響

摘要

資源の循環利用および有効活用が強く 望まれる昨今，鉄スクラップや低品質鉄鉱石を原料とした 鉄鋼材料プロセスの研究開発が急務とされている。鉄スクラップには 銅，亜鉛，スズ，低品質鉄鉱石には高濃度の りhなどの不純物が混入している可能性が高く，これらを精錬過程 で完全に除去することは大変困難であり，環境負荷 も大きくなる。この問題を回避するため，不純物を除去せず有効活用 する「不純物逆利用鋼製造プロセス」が考案され ており，急冷凝固を取り入れたプロセスにおいて，鋳造組織の微細化 が可能であることや，ナノ粒子の析出により機械的性質 が向上することが明らかにされている。そのプロセスの正確 な制御のためには，脱酸および精錬プロセスにおける 溶鋼‐スラグ間のりh等の不純物の分配比を把握することが重要 である。精錬プロセスにおいては，溶鋼中のりh等 の不純物はCaO などを中心とした塩基性のスラグを用いて効率的 に除去されており，その熱力学的性質は広く調査されてい る。一方で，脱酸プロセスにおける不純物残留の可能性に関 する検討はあまりなされていない。Kobayashi らは, MnO-SiO_2(-MgO)系スラグが生成するような脱酸プロセスにおいては ，溶鋼中の不純物りhはほとhどスラグ中に吸収されることなく 残留し，その後の凝固過程で利用可能であることを 定量的に明らかにしている[1]。しかしながら，スラグ組成 の調整による残留りh濃度の制御に関する研究はなされていない 。そこで本研究では，MnO 系スラグにCaO を添加 し，りhの挙動に与える影響を調査することを目的とする。