高温型動的再結晶と低温型動的再結晶

摘要

金属材料の組織制御は，機械的特性改善や信頼性向上のため重要である．そのため，鋳造粗大粒組織は，高温域における加工熱処理によって結晶粒微細化される．その高温変形中に生じる結晶粒の微細化機構が動的再結晶(dynamic recrystallization/DRXと)して知られる[1-9]．このDRX は拡散によって支配される一種の熱的現象であると見なされてきた．ところが近年，室温や温間域での強ひずみ加工によっても，新粒が生じることが数多く報告されており[10-20]，したがって広義には後者の現象もDRX の一種と見なすことが出来るであろう．ここでは，高温域，あるいは室温?温間域で起こる動的再結晶をそれぞれ高温型DRX と低温型DRX にあえて分類し，その事例を紹介する．