(J030)HPT 加工·熱処理により作製した超微細粒鋼の引張変形その場中性子回折による変形挙動解析

摘要

HPT（High-Pressure Torsion）加工した極低炭素鋼は，高転位密度（>1015 m-2），結晶粒径 約250 nm からなるナノ組織を有する．この試料は，高強度でありながら，降伏後に加工硬化に伴う大きな引張均一伸びを有する特徴的な引張特性を示す．また，HPT 加工材に573 K, 2 h の熱処理を施した試料においては，均一伸びを示した後，急激な応力降下後に局部変形が開始し，破断に至る．中性子線を用いることで，回折ピークの位置や形状の変化，さらにはリートベルト法やCMWP 法による定量的なプロファイル解析から，変形中の粒応力分配挙動や転位挙動·形態を調査することが可能である．本研究では，中性子回折（ND）実験により引張変形中の粒応力分配挙動（格子ひずみの変化）および転位挙動から，ナノ組織化した極低炭素鋼が示す特異な変形挙動の発現メカニズムを考察することを目的とした．