( S287) 高マンガンTWIP 鋼の引張変形によるKAM 値変化の結晶粒径依存性

摘要

オーステナイトは、組成と組織の適切に制御することにより、双晶変形(TWIP; Twinning induced plasticity)やTRIP(Transformation induced plasticity)を塑性変形中を発現させることが可能であるため、すべり変形のみが生じる場合よりも大きな延性を確保し易い利点を有する。双晶変形やTRIP は前駆過程あるいは併発現象としてオーステナイト中のすべり変形を伴うため、その際に生じる転位組織変化を知ることは、双晶変形/TRIP 挙動を制御する上で重要である。特に、高マンガンTWIP 鋼では、結晶粒微細化により双晶変形が抑制されるが、その理由を理解する上で、前駆過程として生じる転位組織の評価は必要不可欠である。一方で近年、EBSD(Electron Back ScatteringDiffraction)測定により得られるKAM(Kernel Average Misorientation)測定が転位組織の評価方法として定着しつつある。本研究では、種々の初期結晶粒径を有する高マンガンTWIP 鋼の室温引張変形により生じる転位組織変化をEBSD/KAM 測定により明らかにし、その結晶粒径依存性を明らかにすることを目的とした。