二相ステンレス鋼の組織と機械的特性に及ぼす窒素吸収処理の効果

摘要

ステンレス鋼中の窒素は固溶強化に加え、塩化物環境下での局部腐食性を改善することが知られている。 高窒素ステンレス鋼の作製方法の一つに固相窒素吸収（NA）法がある。 鋼材を高温の窒素ガス雰囲気申に保持することで表面から窒素を拡散·固溶させる手法であり、薄板やワイヤーなどの小型部材に用いられている。 しかしこの手法は高温かつ長時間の熱処理を要するため、処理中に結晶粒が粗大化するという欠点をもっている。 そのため、粒成長の抑制による機械的特性の向上が課題とされている。 一つに、もとの結晶粒が微細混相であればNA処理中の粒成長を抑制できる可能性がある。 本研究では、粒成長の抑制を目的として二相ステンレス鋼SUS329J1にNA処理を行いこその組織変化と機械的特性との関連性について検討した。