(S121)製鋼スラグ系肥料による海水流入·除塩水田の生産力改善

摘要

2011 年の東北太平洋沖地震津波により、宮城県沿岸部の水田は甚大な被害を受けた。復旧事業より農地除塩が行われ、水溶性塩分濃度は低下し、水稲栽培が再開されている。しかし、除塩された土壌では海水由来のNa が土壌の負荷電部位に静電的に吸着（交換性Na）し、その交換作用によって元々の土壌の交換性Ca が減少している。Na の過剰吸収は作物生育に害であり、Ca の補給はその害作用を緩和することが知られているので、津波被災·除塩土壌の生産性を回復するためにはCa を補給し、Na を除去する必要がある。このような塩性土壌の改良には硫酸Ca（石膏）の施用が有効であることが知られている。製鋼スラグはCa のみならず、水稲が多量に必要とするケイ酸も多く含むことから、津波被災·除塩水田の改良効果が期待されるが、その効果は実証されていない。本研究では、除塩された津波被災水田の生産力改善に製鋼スラグが有効であるかを圃場栽培実験で検討した。