重合メッシュ法、均質化法およびナノインデンテーション法によるコークス強度、粒度の推定方法の開発と課題

摘要

本報においては、1）均質化法を用いたカーボンデポジットコークスの強度解析、2）ナノインデンテーション法を用いたコークスの基質強度評価、3）亀裂先端応力および応力拡大係数の厳密な推算に有効な重合メッシュ法を用いた解析について示した。得られた知見を以下に示す。 デポジットコークスの強度解析の結果、·コークスの写真より直接解析モデルを生成することで、実際のコークスの微視構造を忠実に再現した。 ·カーボンデポジットコークスと通常のコークスの均質化弾性係数およびミクロ領域での応力分布それぞれ推算し、気孔分布と均質化弾性係数の観点からデポジットによる強度発現機構を明確化した。 ナノインデンテーション法によるコークス基質強度の測定の結果、·いずれのサンプルにおいてもイナートは高い強度をもつ。 ·流れ組織と粗粒モザイク組織はいずれのサンプルにおいても近い強度をもつ。 ·デポジットカーボンにおいてはコークス基質より低い強度をもつ。 ·石炭化度の高い石炭より生成したコークスのイナートは高い強度をもつ。 また、重合メッシュ法を用いた解析手法を膨張·収縮を伴うコークスの亀裂進展機構解明に適用することが可能であることが示された。 今後の展望を以下に示す。l）原料炭性状を反映させた軟化溶融·再固化モデルを構築する。 2）コークス塊内の気孔径分布や内部欠陥量を定量的に推定する。 3）コークス塊の強度·反応性を予測し、現在行われているドラム強度や反応性評価との比較を行い、妥当性を検証する。 4）原料炭配合比率や加熱条件などの乾留条件を入力条件とした室炉内の乾留現象を総合的に解析可能なモデルを構築し、膨張圧、クリアランス、コークスの粒度、強度および反応性を評価する。