高強度溶接部における粒内ベイナイトの結晶学的特徴

摘要

前報で引張強度800MPa以上の高強度鋼溶接部において粒内ベイナイトの生成が認められ、靭性が向上することを報告した。また、生成核となるTi酸化物周りにMn欠乏層が存在することを確認し、それが生成要因の一つと考えられる事を報告した。粒内フェライト生成機構については多くの報告があり、①Mn欠乏層、②界面エネルギー、③歪みエネルギー等、様々な観点から議論されてきている。 一方、粒内ベイナイトの生成機構はMn欠乏層形成の観点からの議論のみに過ぎずない。 本研究では、粒内ベイナイトの結晶学的特徴について調査を行い、粒内ベイナイト変態機構について考察した。