CaO－SiO_2－CaF_2系ガラスの結晶析出挙動に与えるNa_2Oの影響

摘要

炭素濃度0.08－0.16mass％の亜包晶鋼の高速鋳造において，鋳片の縦割れが問題となっている。 これは鋳片の抜熱の不均一性によるもので，鋳造速度の上昇とともにこの不均一性は顕在化する。 花尾らはこの問題を解決する上で，モールドアラックスにcuSpidine（3CaO·2SiO_2·CaF_2）を結晶化させることが有効であることを報告している。当研究室ではフラッグス中におけるcuspidineの結晶化を制御する上で必要となるCaO-SiO_2-CaF_2系状態図やcuspidineの標準生成ギブズエネルギーを決定し，cuspidineの結晶化挙動について報告してきた。また，モールドフラックスの主成分の一つであるNa_2Oはフラッグスの物性およびcuspidineの結晶化挙動に大きな影響を及ぼす。 本研究では，CaO-SiO_2－CaF_2-Na_2O系急冷ガラスの結晶析出量，結晶化速度に対するNa_2O添加の影響について，示差熱分析（DTA）および粉末Ⅹ線回折（XRD）により定量的な評価を行うことを目的とする。