α→γ変態の走査イオン顕微鏡法によるその場観察--異常α→γ変態機構（4）

摘要

パケット群として異なる方位に微細に変態した低炭素ベイナイト鋼のα→γ変態過程において、Ac3点以上に加熱した時に、前組織とほぼ同じ大きさの粗大γ粒に変態することがある。 これらをメモリー効果、或いは異常α→γ変態と呼び、前臥残留γ相が存在するラス界面部から変態が開始される様子を、動的その場観察により示した。 今回の第三報で、急速過熱時の異常α→γ変態についてその変態機構を論じる。 いずれも常温では再びベイナイト変態してしまうので、実証解明にはその場観察が有効であり、前回に引き続き、その手法論を精査する。